きみと、まるはだかの恋
 そして、十一時。

「おお、ここが昴の店か〜。『Dining Café 花と星』、いい名前じゃん」
「店名に私の名前を入れるなんて、城山さん私のこと大好きじゃないですかあ?」

「昴お兄ちゃん、波奈お姉ちゃん、プラネタリウム見たーい!」
「こらこら紬、大きな声出さないで」

「ここがハナのお店? めっちゃ雰囲気いいじゃん」
「星見里、初めて来たけど綺麗だね」

 星空ツアーの二人、長嶋さんと星田さんがオープンと同時にやってきてくれた。
 その後ろには三上さんと紬ちゃん、紬ちゃんの友達のえりこちゃん、ゆうとくん、村長、村のお年寄りのおじいちゃん、おばあちゃん、観光客と思われるお客さんの若いカップル、女子グループ、重村さん、そしてなんと、『ベストツーリズム』の北村プロデューサーや中井さんまでいた。

「ハナさん、久しぶり」

「北村さん、中井さん、来てくださったんですね」

「もちろん。取材を——と言いたいところだけど、まずは普通に食事を楽しませてもらおうかと思ってね」

「ぜひ! 星見里の食材をふんだんに使ったメニューばかりなので、お楽しみください」

 北村プロデューサーが「それは楽しみだ」と答えるのを聞くと、昴が「こりゃすげーな」と感慨深そうにつぶやいた。

「初日にこんなに人が来てくれるなんて思ってなかった。二人で大丈夫かな」

「任せて。私がなんとかするから!」

 確かにこのお客さんの数を見てビビる気持ちはとてもよく分かる。でも、みんな『Dining Café 花と星』の記念すべき一日目を見ようと思って来てくれたのだから、オペレーションが回らずにがっかりなんてさせたくなかった。
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