きみと、まるはだかの恋
 村の入り口から役場にたどり着くと、村長の木川(きがわ)さんが笑顔で出迎えてくれた。年齢は六十代半ばといったところだろうか。前歯が欠けているのが印象的だった。笑うと目元がくしゃりとつぶれて、アニメのキャラクターみたいにかわいらしい顔になる。

「ようこそお越しくださいました。あいにくの雨で少し残念ですが、できる限り星見里の魅力が伝わるように、ご案内します」

「初めまして。『ベストツーリズム』の北村です。こっちは部下の中井、そしてこちらは美容・コスメなどのインフルエンサーをしているハナさです。よろしくお願いします」

「中井美里(みさと)です。よろしくお願いします」

「ハナです。星見里の魅力が伝わるように精一杯頑張ります」

「よろしくお願いします。そんなにかしこまらなくてもいいですよ。それにしても、都会のお嬢さんたちは美人でおしゃれですねぇ」

「えへへ」

 中井さんが謙遜することなく照れた笑みを浮かべる。すごいな。皮肉でもなんでもなく。他人から褒められて、素直に喜べるのはいい。私は、「ありがとうございます」と笑顔をつくるだけで精一杯だった。
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