きみと、まるはだかの恋
 そうだ。スマホでライブをしてどれだけ好意的なコメントをもらって嬉しくても、今日実際に対面してお客さんと話せた喜びには到底及ばない。

「ねえ昴、外行こうよ。今日すごく晴れてたからきっと星が綺麗だよ」

「ああ、そうだな。星を見よう」

 私はそっと昴に右手を差し出す。その手を握り返された時、心の底から昴と一緒に『Dining café花と星』をオープンできて良かったと思えた。

「今日は星空ツアーガイドの仕事も休ませてもらったからな。波奈だけにガイドして差し上げよう」

「嬉しい。そうこなくっちゃ」

 高校時代、昴とあと十センチの距離が埋まらなかった。でも今は、こうして“ハナ”ではない、“波奈”として彼の隣にいられることが夢のようで、本当に嬉しい。
 
 外に出た私たちは、「いっせーのーで」で二人一緒に空を見上げる。
 夜空に瞬く星たちが、私たちのこれからの輝かしい日々をお祝いしてくれているようだった。

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