きみと、まるはだかの恋
 東京と星見里で二拠点生活をしていた私は今後の身の振り方を考えて、結局昴と一緒に星見里で暮らすことにした。昴には「いいの?」と本気で心配されたけれど、インフルエンサーの仕事は星見里からでもできるから、と強気の決断をした。
 
「これから星見里はどんどん日本に、いや世界に羽ばたいていくんでしょ。そのお手伝いができるかもしれないじゃない。そのために通信環境も整えてる最中なんだし」

 そう。私たちのカフェがオープンしたこと、それに伴い様々なメディアが星見里での暮らしや星見里の魅力を発信してくれたことにより、星見里は今、新たな観光地として日本中で注目を浴びている。
 今まで中途半端だったインフラ整備も進んでいて、ネットが繋がらない今の状況も、変わっていこうとしていた。

「そうだけど、東京に住むのに比べると波奈の仕事、減っちゃうんじゃない?」

「それでもいいよ。私は昴とずっと一緒にいたいから」

「波奈……」

 高校生の時から今も変わらない想いを胸にした。あの時は素直に言えなかった。たった一言、“昴の隣にいたい”という言葉を、今こそ口にするべきだと思った。

「分かった。波奈がそんなふうに言ってくれるなら、俺も責任持って波奈と生きていけるように頑張るわ」

「ありがとう。私だって一緒に頑張らせて」

 決意を口にすると、これから待ち受けるどんな困難だって昴と一緒に乗り越えられる気がした。
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