きみと、まるはだかの恋
「食べ物がなーい!」
田んぼには収穫前の稲穂がきらきらとした日の光を浴びて、さわさわと風に揺れる。その風景は心に沁みる。だけど、腹の虫がぐうぐう鳴いていては景色を堪能することもできなかった。
なんとか気持ちを保ちつつ、食糧を求めて前に進む。
それからどれぐらい歩いただろうか。
食堂の前を通り過ぎてから時間にして二十分程度だろうか。ここにいると時間の感覚がなくなる。それぐらい時がゆっくりと流れているような気がするのだ。
「『喫茶きこり』……」
それは、ぱっと見小さな木造の家だった。
他の民家と変わらない、二階建ての三角屋根の家。だが、玄関の格子状の木の扉の横に『喫茶きこり』と小さな看板がかかっている。正面から中は見えない。でも、その家——否、お店の周りをぐるりと歩くと、窓から店内の様子がうっすらと窺えた。
木製のイスとテーブルが四セットほど並んでいる。また、奥には座敷もあり、絵本や子どもの頃遊んでいたけん玉、かざぐるま、コマ、紙風船などのおもちゃが置かれていた。
その温かみのある空間に、思わず「おお」とため息が漏れた。
再び正面に戻り、意を決して扉を開ける。
田んぼには収穫前の稲穂がきらきらとした日の光を浴びて、さわさわと風に揺れる。その風景は心に沁みる。だけど、腹の虫がぐうぐう鳴いていては景色を堪能することもできなかった。
なんとか気持ちを保ちつつ、食糧を求めて前に進む。
それからどれぐらい歩いただろうか。
食堂の前を通り過ぎてから時間にして二十分程度だろうか。ここにいると時間の感覚がなくなる。それぐらい時がゆっくりと流れているような気がするのだ。
「『喫茶きこり』……」
それは、ぱっと見小さな木造の家だった。
他の民家と変わらない、二階建ての三角屋根の家。だが、玄関の格子状の木の扉の横に『喫茶きこり』と小さな看板がかかっている。正面から中は見えない。でも、その家——否、お店の周りをぐるりと歩くと、窓から店内の様子がうっすらと窺えた。
木製のイスとテーブルが四セットほど並んでいる。また、奥には座敷もあり、絵本や子どもの頃遊んでいたけん玉、かざぐるま、コマ、紙風船などのおもちゃが置かれていた。
その温かみのある空間に、思わず「おお」とため息が漏れた。
再び正面に戻り、意を決して扉を開ける。