きみと、まるはだかの恋
しばらく無言の時を過ごしていると、いつのまにかゴンドラが目的地へと到着していた。
ゴンドラから降り立つと、途端にひゅうっと冷たい風が身体を覆い尽くす。高原という名の通り、辺り一面見渡す限りの草原が広がっていて圧巻の景色だった。が、景色に見惚れている場合ではない。
「さ、さむっ」
思っていたよりもずっと寒い。寒いとは聞いていたが、さすがにここまでとは思っていなかった。地上と十度ぐらい差があるんじゃないだろうか。すっかり夏の格好で来た私は予想とのギャップに面食らう。
「ほら、言っただろ。ちょっと待ってな」
昴が、『星見里星空ツアー受付』という看板の建てられた白い建物の中へ入っていく。少し待つと、『星見里星空ツアー』と背中に書かれた紺色のウィンドブレーカーを持って来てくれた。
「これ貸すから着てな。普段は俺が使ってる」
「あ、ありがと」
なんで昴、そんなに気が利くの。
彼からそっと羽織を受け取り腕を通す。その刹那、懐かしい彼の香りに包まれて、胸の奥がきゅっと鳴った。
「昴の匂い……」
バスケ部の練習のあとに、汗と制汗剤の匂いが混ざった彼の匂いが好きだった。友達に言ったら変態って笑われると思ったから、もちろん誰にも伝えたことはない。私の中でひっそりとこの「好き」が育っていくのを感じていた。
ゴンドラから降り立つと、途端にひゅうっと冷たい風が身体を覆い尽くす。高原という名の通り、辺り一面見渡す限りの草原が広がっていて圧巻の景色だった。が、景色に見惚れている場合ではない。
「さ、さむっ」
思っていたよりもずっと寒い。寒いとは聞いていたが、さすがにここまでとは思っていなかった。地上と十度ぐらい差があるんじゃないだろうか。すっかり夏の格好で来た私は予想とのギャップに面食らう。
「ほら、言っただろ。ちょっと待ってな」
昴が、『星見里星空ツアー受付』という看板の建てられた白い建物の中へ入っていく。少し待つと、『星見里星空ツアー』と背中に書かれた紺色のウィンドブレーカーを持って来てくれた。
「これ貸すから着てな。普段は俺が使ってる」
「あ、ありがと」
なんで昴、そんなに気が利くの。
彼からそっと羽織を受け取り腕を通す。その刹那、懐かしい彼の香りに包まれて、胸の奥がきゅっと鳴った。
「昴の匂い……」
バスケ部の練習のあとに、汗と制汗剤の匂いが混ざった彼の匂いが好きだった。友達に言ったら変態って笑われると思ったから、もちろん誰にも伝えたことはない。私の中でひっそりとこの「好き」が育っていくのを感じていた。