きみと、まるはだかの恋
 星田さんの若くフレッシュな解説も、観客たちに受けていた。
 解説者が違えば、受ける印象も違ってくる。二人がそれぞれの個性を活かしていて素敵だと思った。
 星田さんから昴へと再び解説をバトンタッチ。そろそろツアーの締めにかかるようだ。

「星見里の星空は、昔から村の宝です。ここでは電波はほとんど届かないけど、だからこそ、星とちゃんと向き合うことができます。スマホの通知とか、フォロワーからの『いいね』とか……ここでは関係ないんです。星は、ただそこにあって、誰でも見上げられます。私はいつも思うんです。星って、どんな人にも平等に輝いてるんだなあって。みなさんも、ふと立ち止まって夜空を見上げてみてください。星見里の夜空にはスマホの画面では見られない感動的な輝きが広がっていますよ。本日はお越しくださいまして、ありがとうございました!」

 現代っ子にもうまく刺さるような解説で締めくくられた。
 観客たちも、ワーッと手を叩きながら昴と星田さんの星空解説を労っていた。

「どうだった、波奈」

 解説を終えた彼は周りにいた観客たちからの質問に答えたあと、まっすぐに私のもとへと向かってきてくれた。

「すごく、楽しかった。昴の解説がすとんって頭に入ってくる。こんなふうにじっくり星空を見たの初めてだったかも」

 私が素直に褒め称えたからか、昴は照れくさそうに「そうか」と伏し目がちに答えた。
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