きみと、まるはだかの恋
「大丈夫だって。部屋余ってるし。寝るだけだろ。別になんもしねーよ」

「それは……」

 昴にきっぱりとそう言われて、なんだか逆に私が不埒なことを考えているみたいなって恥ずかしい。
 それになんもしないって……そこまではっきり言わなくても。
 て、私は何を期待しているの!?
 なにもしないっていうのは、昴なりの誠実さではないか。私は、心の底では昴とそういう関係(・・・・・・)になりたいと思っているのだろうか。

「この時間にその、女の子を外に放り出すわけにもいかねえって。星空ツアーは俺が誘ったんだし、俺は今日、波奈を家に泊める責任がある」

「う、う〜ん……」

 確かに、星空ツアーに誘ってきたのは昴だ。だけど、星空ツアーの開始時刻と最終バスの時間を知っていた昴は、どうしても最初からこうなることを考えていたとしか思えなくて。
 ……と、そこまで考えて、私は思考をやめた。
 昴が確信犯だったとして、私にはこれ以上なす術がない。だったらもう、大人しく彼の言う通り一晩泊めてもらうしかないんじゃないだろうか。
 うまいこと口車に乗せられた気がしないではないが、ここは彼の厚意に甘えるしかないな。
 それに、今私のことを“女の子”扱いしてくれたことが妙に嬉しかったのは秘密だ。

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