きみと、まるはだかの恋
「お言葉に甘えることにする」

 今の今まで悩んでいたのに、急に手のひらを返したかのように決断を下した私を見たせいか、昴の肩がぴくんと跳ねる。

「本当にいいんだな?」

「なによ。誘ってきたのはそっちじゃん」

「いや、誘うっていうか。仕方ないから泊めようってだけ」

「素直じゃないやつ〜」

 肘で昴の横腹をつっつくと、「おいやめろって」とそっぽを向かれた。なんだかんだ昴は高校時代から変わってない。不器用な優しさが私の胸に溶けて、尖っていた気持ちが少しずつ解けていく。

「そうだ。これありがとう。おかげで風邪引かなくて済んだわ」

「お、おう。よかった」

 貸してもらっていた上着を脱いで、彼に返した。

「良かったらまた見にきてよ。土日なら俺、いつもここにいるから」

「うん」

 私が笑顔で頷くと、向こうのほうから星田さんがやってきて「城山さーん。そろそろ撤収しましょう〜」と声をかけてきた。
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