きみと、まるはだかの恋
 星見里に再び到着したのは、その日のお昼過ぎだった。
 バスの中で、「もうすぐ到着します」と昴に送ろうとしたけれどその時にはすでに圏外になっていて、できなかった。改めて、自分が今からどういう世界で生活しようとしているかを思い知って、大丈夫かなと不安になる。
 しかし実際に星見里のバス停に着くと、なんと昴が待っていてくれた。

「お疲れ様。ようこそ、星見里へ!」

 ツアーガイドのように両手を広げておどけてみせる昴だが、そういえばこいつは星空ツアーコンダクターだった。

「昴、どうして待っててくれたの?」

「そりゃ、『今から向かいます』って連絡きたからじゃん。迎えに行かないとあとで引っ叩かれると思って」

「もう、私そんな凶暴な女じゃないよ!」

 大きな声でツッコミを入れると、昴がくくっとおかしそうに笑った。

「その調子なら大丈夫そうだな。ほら、荷物貸して。行くぞー」

 昴は自然な手つきで私の手元からキャリーケースをすっと引き取ると、バス停のロータリーの隅っこに停めてあった軽トラの荷台にキャリーケースを積んだ。

「あ、ありがとう」

 なすがまま、なされるがままに助手席へと乗り込む。

「軽トラの助手席に乗ったの、初めてかも……」

「そうか。まあ、都会に住んでたら普通は乗らないよなー。結構楽しいぞ?」
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