悪役令嬢の逆襲

フィリップス王子との出会い

 指定された日に王城へ赴くと、豪華絢爛な宮殿内でフィリップス王子自らが待機していた。

 煌びやかな衣装を纏う姿を見ると、自然と緊張が走る。

 礼儀正しく挨拶を交わすように努めた。

「お久しぶりです。ご招待いただき光栄です」

 控えめながら笑顔を浮かべ挨拶すると、向こう側も優雅に微笑み返される。

 フィリップス王子とは一度会ったことがある。

 幼い頃、両親と共に舞踏会へ出席した時以来だった。

 当時ブランシュ家とも、良好な関係築いておられていたことを覚えている。

 しかし今となって考えればお互い立場が違うため、距離を置かざるを得なくなった。

「君のこと、いろいろ知りたくてね。一緒に庭園を散策しようと思うんだ」

 彼の提案を受諾して歩いていく最中、雑談が始まる。

 ふと尋ねる。

「どうして私を呼んでくださったのでしょうか?何か特別な理由でもありますか?」

 すると彼は穏やかな眼差しを向けて答えた。

「実は君について色々調べていてね……それで興味を持つようになったんだ」

 突然真剣な表情見せ始めるので、こちら側の緊張感は増すばかり。次の瞬間、意外な反応を示す。

「君は本当に美しく育ったじゃないか?前々から思っていたんだけど……今改めて確信したよ」

 突然称賛されるとは思わなくて、赤面してしまう自分を感じながらも謙虚に振る舞う。

「そ……そんなことありません……」

 その後、さらに話を進めつつ互いに理解を深めて行った。

 何気ない態度に見え隠れする本音を察知しつつ、何とか共通点探す中、イザベルはある違和感覚えていた……。

 これ以上深入りしてよいものだろうか?

 疑問が残りながら時間は過ぎていくばかり……そしてついに最後の話題を持ち込むフィリップス王子。

「あのさ……結婚してくれないか?俺好きになったんだよ、イザベル嬢」

 突然告げられた衝撃の一言を、受け入れられないまま混乱が続く。

「冗談ですよね?だって私たちは何も知らない他人同士ですし……そんな簡単に決められるわけ……」

 必死に否定しても、彼は揺るぎなく瞳をまっすぐ捉え続けて言う。

「いいや違うよ。君こそ僕の運命の人なんだから諦めないんだ!!」

 どうすれば良いの!?

 突然降り注いだ好意を受け止め切れず、混乱は収まらない。
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