悪役令嬢の逆襲
 翌朝、早速行動に移す。

 とりあえずお返事を伝えるために、フィリップス様の所へ向かった。

 廊下曲がり角突き当たりまで来た瞬間、驚愕する光景に出くわす。

 なんとフィリップス王子がマリアンヌとキスをしていた。

 二人が唇を重ね合わせているなんて。

 衝撃があまりにも大きくて頭が真っ白になり、足元から崩れ落ちてしまった。

 気が付いたら、自分の部屋のベッドの上で横になっていた。

 一体どこまで見ていたんだろう……。

 思い出そうとしても全く脳裏に浮かばず、ぼんやりとした記憶が残るだけ。

 不安を募らせていた時だった。

 侍女の呼びかける声が聞こえてくる。

「お嬢さま、ご気分は如何でしょうか?」

 ゆっくり体を起こして尋ね返した。

「えっとあの後、倒れたんじゃなかったかしら」

 メアリーは小さくうなずいて教えてくれる。

「そうです。王子様の部屋の前から連れ戻しました。あなた様は相当ショックをお受けになっておりましたから、少し休まれてはいかがでしょうか?」

 優しい助言を頂戴しながら、少しずつ落ち着き始めるよう努力した。
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