悪役令嬢の逆襲

疑惑

 結婚式は大成功に終わり、夫婦仲良く暮らし始めた。

 最初のうちは順風満帆そのものだったのだが……最近何かおかしな点が多い気がする。

 まず第一に妙に外出する頻度が多い。

 仕事関係者と会議すると言ってた割には、長すぎる。

 帰りが遅くなることが多いので、疑念が生じ始めていた。

 それに加えお金を使っている形跡もあり、怪しんでいる。

 以前までは財布管理を任せてくれていたのに、今月に入って一切任されていない。

 それどころか家政婦さんたちも同じ悩みを抱えているようで、「旦那様なんか怪しいです」と何度も言われる始末。

 さらに危機感を覚えざるを得ない。

 そこでイザベルは一つ作戦を立てることにする。

「メアリー、協力して」

 侍女を呼んで、相談を持ち掛ける事にした。

 すると、迷いつつもなんとか快諾してくれる。
 
 彼女はフィリップスの後を追いつつ、偵察していく。

 しばらくして、彼女から報告をもらった。

「どうやらマリアンヌと会っているようです」

 彼女の証言を聞いて背筋が寒くなった。

 確認するために、次の手打つことにする。


 フィリップスの後をつけて進むと、玄関から現れたマリアンヌと出会っていた。

 そして真夜中まで偵察すると、王子の部屋から甘い声が聞こえてきた。怒りが湧いてくる。

 イザベルは急いでその場から離れて、自室に戻りその場で声を上げながら泣いた。

 次の日。庭にいた彼に話しかける。嘘だと言って欲しかったから。

「フィリップス様、マリアンヌと出会っているのは本当ですか?」

 問い詰めると、苦虫を噛んだ顔を見せる。

「あーうー……」

 唸るように言葉を濁していたけど、ついに真相話し始める。

「彼女との子供できちゃったみたいなんだ」

 耳打ちされた情報を聞くなり、驚愕させられた。

「嘘……」
「ごめんなさいイザベルちゃん……本当に騙してすまなかったよ!」

 謝るものの、許せるはずもなく離婚を切り出す。

「さよなら、結婚を破棄します」

 こうして離婚して、マリアンヌとフィリップスに復讐を誓った。
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