クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


「…知られたら、大変なことになっちゃうかな…?」


おそるおそるたずねると、日向ちゃんは箸を置いて、身を乗り出した。


「大変どころじゃないわよ! 学校中の大スクープよ、大スクープ!」


「そ、そんなぁ……」


肩を落とす私を見て、日向ちゃんはさらに声を強める。


「いい?綿谷が女子と関わるとかね、前代未聞なのよ!?綿谷狙いの女子なんか、山ほどいるし、ファンクラブだってあるくらいなんだから、もし綿谷が自分から関わろうとする女子がいたら、一瞬で噂になるわよ!」


高校なんて、音速で噂が広まる。


もし…もし、ファンクラブの方々に知られでもしたら…


呼び出されて、ボコボコにされるとか……!?


そんな想像を巡らせれば、全身から血の気が引いていく。
< 104 / 174 >

この作品をシェア

pagetop