クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


後ろによろけた私はなんとかバランスを保つ。


「ったく、こんな時もだんまりかよ。あんたさ、王子と付き合ってるわけ?」


「………違います」


首をふる私を、中里さんは腕を組んで睨みつける。


「…ふーん。なんで一緒にいたかは知らないけどさー、どうせあんた、都合よく使われてるだけだから」


「……え」


中里さんの言葉に、私は顔をあげる。


嘲るように笑う中里さんと、目が合う。


「何も言い返せないあんたを、都合よく使ってるだけ。要するに、王子はあたしみたいに、あんたをおもちゃ扱いしてるってわけ」


「…そんな…」


中里さんの言葉が、刃のように心をえぐる。




< 122 / 174 >

この作品をシェア

pagetop