クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
昇降口に来た時には、外は土砂降りの雨だった。
よかった、傘持ってきてて…
上履きをしまって、ローファーを取り出す。
ずっと足元を見たまま、ローファーを履いた私はやっと顔を上げて、息をのんだ。
……なんでここに…
腕を組みながら、昇降口の扉に背を預けて、私を見つめる綿谷くん。
誰か他の人を待っているのかと周囲をキョロキョロするけど、私と綿谷くん以外、誰もいない。
「あ、あの、なぜここに…?」
「……お前さ、最近ずっと俺のこと避けてるだろ」
私の質問に答えることなく、まっすぐな眼差しで問われる。