クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


結局、お昼になっても私の気分は落ち込みに落ち込んで、朝から漂っていたマイナスオーラが消えることはなかった。


「華子、お昼にするぞ!ほら、中庭行こ」


「うん…」


元気いっぱいの日向ちゃんに、なんとかついていく。


…あんまり、お腹すいてないな……


外の空気を吸えば、少しは気分が変わるかもしれない。


昨日の帰りはあんなに真っ黒い雲が覆っていた空は、今日は嘘のように腫れている。


それに比べて、私は昨日からずっと曇天が続いていた。


「あ、おーい!」


日向ちゃんと中庭へ続く廊下を歩いていると、遠くから手を振った早瀬くんが、こちらに近づいてきた。


早瀬くんがいるということは、綿谷くんもいるのでは…と気まずさを感じていたのに…


なぜか、綿谷くんの姿がなかった。






< 130 / 174 >

この作品をシェア

pagetop