クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「それがあいつの親仕事で家空けてて、あいつ一人暮らしのようなもんらしいぞ」
「ふーん。心配なら、今日綿谷の家行けばいいじゃない」
「俺、試合近いし部活休めねーよ。つうか、蓮の家知らねーし」
「あっそ」
と、日向ちゃんは何かを思い出したように、ぱっとこっちを見た。
なんだか、嫌な予感がする。
「そういえば華子、綿谷の家知ってるじゃない」
日向ちゃんの言葉に、早瀬くんは「えっ、まじ!?」とびっくりした顔でパンを口から離した。
「そうよ、だって華子ーー」
日向ちゃんがなぜ私が綿谷くんの家を知っているのか、その経緯を全部早瀬くんに話した。
最後に、それは他の女子には絶対内緒ってことを付け加えて。
話を聞いた早瀬くんは、私が日向ちゃんに話した時みたいに、ぽかんと口を開けて、状況を整理しているみたいだった。