クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「…小さい頃よくお母さんが読んでくれた本があったんですけど…不思議と、その本を読み聞かせてもらうとすぐ眠くなっちゃって。私、それが一番大好きで、全部覚えちゃって」
驚いたように目を瞬かせる綿谷くん。
「…お前らしいな」
クスッと、小さく笑った。
…やっぱり、綿谷くんといると心臓が騒がしいけど、すごく気持ちが落ち着く気がする。
「私昔から本を読むことが好きなんですけど、クラスの人には暗いって言われちゃって」
私は苦笑いを浮かべた。
自然と言葉がこぼれる。
「高校に入って、クラスの子たちはどんどんおしゃれになって……だから私も、もっと明るい趣味でも見つけられたらいいな、なんて思って」
言いながら、私は視線を落とした。
「……好きなことは、無理に見つけるもんじゃないだろ」
静かに話を聞いていた綿谷くんが、口を開く。