クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


思わず顔を上げると、彼の瞳がまっすぐこちらを捉えていた。


「別に華子は華子でいればいい。周りと比べる必要なんかない。華子の飾らないところも……お前らしさだろ」


胸の奥がぽかぽかと温かくなるのを感じながら、私はそっと微笑んだ。


「そう、ですね……ありがとうございます」


抱きしめる腕に、力がこもったような気がした。


「なあ、さっき言ってたやつ聞かせろよ。お前が覚えてるほんの話」


「で、でも子ども向けのお話ですよ?」


「いい。…華子が好きなものなら、俺も知りたい」


綿谷くんの心地良い低い声を近くで聞きながら、私は小さく頷いた。


「…じゃあ、目閉じてください」


「…そしたらお前の顔が見れない」




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