クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


昨日あんだけの雨の中傘も刺さずに帰ったし、自業自得だけどな…


熱が出た要因はそれなのだろうが、俺にとってはもうひとつ心当たりがある。


昨日、華子に言われたあの言葉ーー


『綿谷くんは、私と関わらないほうがいいと思うんです』


華子からの、拒絶とも言えるような言葉。


あれに、だいぶ打ちのめされた気がする。



俺のことを「友達」としか思っていないことくらい、わかっていた。


俺がどんな気持ちで華子を見てきたのかなんて、あいつは知らない。


胸の奥に小さな棘のように刺さっていたその言葉が、熱と一緒に体中を重くしたのかもしれない。




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