クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


「うーん、でもさ。プレゼントって、別に高いものじゃなくてもいいと思うよ。どんな気持ちであげるかのほうが大事じゃん。」


そう言ってから、日向ちゃんは何かを思い出したようにパッと顔を上げた。


「――あっ、そうだ! 華子、料理得意じゃん。手作りケーキとか、絶対いいと思う!」


「ケーキ…私の?」


「うん! 華子の作るやつ、美味しいし。きっと喜んでくれるよ」


「喜んでくれるかな……」


そうつぶやくと、日向ちゃんがニヤッと笑った。


「あったり前じゃない! 綿谷は華子のことが……っ、あ、危ない危ない!」


慌てて口を押さえる日向ちゃん。


「どうしたの?」


「いや、なんにもない! とにかく、あいつが華子から貰ったものを喜ばないとか、ありえないから!」


何かを必死に誤魔化すように首を振る日向ちゃんを見て、私は小さく首を傾げた。



ーーなんだろう…?


日向ちゃんが何を言っていたのか聞き逃しちゃったけど、まあいっか。


それでも、不思議と胸の中があたたかくなる。


「……ケーキ、作ってみようかな」


日向ちゃんの言葉に背中を押されるように、私はそっと呟いた。



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