クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
私はぐいぐいと綿谷くんを教室から引っ張り出して行く。
「…わかった」
どこか不服そうな返事にひと言文句を言いたい気もしたけど、今はそんな時間もない。
「その代わり、帰りも一緒に帰るから」
「えっ」
「勝手に帰るなよ」
そう釘を刺されて、私は仕方なく「…はい」と答えるしかなかった。
廊下の奥へ消えていく私たちを、少し離れた場所から見ている人物がいたことに、この時の私は気づかなかった。
「……ふうん。ハナコのやつ、いい度胸じゃん」
窓際にもたれかかっていた那月は、遠ざかる背中を眺めながら小さく目を細めた。