クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「…それ、あんたに渡しとく。その夏祭り、毎年華子と一緒に行ってたけど、今年はあんたに譲る」
「……いいのか?」
「あたし、ちょうどその日に予定重なったの。だからって、チケット無駄にできないでしょ。なら、綿谷に渡しておこうと思って。…華子もあんたとなら喜ぶだろうし」
そう言って、丹羽は小さく笑った。
けれど、すぐにその表情を引き締めると、まっすぐに俺を見つめる。
「言っておくけど、あんたが華子を大事に思ってるのと同じくらい、あたしにとっても華子は大切な親友なの。だから、華子を泣かせるようなことしたら、絶対許さないから」
絶対に、そんなことはしない。
心の中でそう言い切る。
華子を泣かせるつもりなんて、これっぽっちもない。むしろ、笑っていてほしい。これからもずっと。
「……わかってる」
短くそう返すと、日向は俺の顔をじっと見つめた。
やがて、納得したように小さく頷く。
「そ。じゃあ私、戻るから」
そう言って、丹羽は踵を返した。
教室の扉が開き、そして閉まる。
一人残された俺は、手元のチケットに目を落とした。