クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


そして今日、思いがけない坂本と触れ合う機会を得た。


昔と変わらない方向音痴なところに、思わず笑ってしまった。


そして、優しい声も、庇護欲を掻き立てるひとつひとつの仕草も。


この5年間で、俺は思っていた以上に、華子に惚れていたらしい。


保健室でふたりきりの空間は、ある意味地獄だった。


目の前にいる華子に、触れたくて仕方がない。


下を向いたときに垣間見える長いまつ毛。
そして形のいい、ぷっくりとした唇。


全てに、触れたいーーそんな衝動を抑えるので、精一杯だった。


そして華子が「お詫びとお礼をしたい」というのをいいことに、俺は華子の頬にそっとキスを落とした。


ほんとは、唇にしたい気持ちが強かったけどな……


でも反応を見る限り、華子は俺に気づいていなそうだ。


だからこれからゆっくり時間をかけて、俺のものにしていく。



俺はそう決めた。





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