クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
…そうだ、今度作るのは、ハンバーグにしよう!
「さっきから、思ってることダダ漏れ」
「………へ?」
聞き覚えのある声が頭上から降ってきて、私はぽかんと間抜けな表情を浮かべたまま、顔を上げる。
「な、ななな…っ、なんで綿谷くんが!?」
クールな顔の綿谷くんと、バッチリ目が合った。
綿谷くんはそのまま、私の隣の席に座る。
「…あ、あの、なぜこちらに…?」
「なんとなく」
私が持ってきた料理本をペラペラとめくりながら、綿谷くんはそう一言。
な、なんとなくって、答えになっていないのでは…?
「坂本ってさ、料理すんの?」
「…えと、その…まだ始めたばかりなんですが…」
「ふーん」と、綿谷くんが短い返事をした。