クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


…そうだ、今度作るのは、ハンバーグにしよう!


「さっきから、思ってることダダ漏れ」


「………へ?」


聞き覚えのある声が頭上から降ってきて、私はぽかんと間抜けな表情を浮かべたまま、顔を上げる。


「な、ななな…っ、なんで綿谷くんが!?」


クールな顔の綿谷くんと、バッチリ目が合った。


綿谷くんはそのまま、私の隣の席に座る。


「…あ、あの、なぜこちらに…?」


「なんとなく」


私が持ってきた料理本をペラペラとめくりながら、綿谷くんはそう一言。


な、なんとなくって、答えになっていないのでは…?


「坂本ってさ、料理すんの?」


「…えと、その…まだ始めたばかりなんですが…」


「ふーん」と、綿谷くんが短い返事をした。





< 67 / 174 >

この作品をシェア

pagetop