クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!


綿谷くんの提案に、「や、やっぱり料理は無しでお願いします!」なんて、私は言ったけど…


「今さら無しとか、無しだから」


なんて返された。




――それからの3日間はハンバーグの練習の日々だった。


作ったことのないものをぶっつけ本番で差し出すなんて、絶対にできない。


だから学校から帰るとすぐにエプロンをつけて、ハンバーグ作りの特訓開始。



その結果、夕飯は3日連続でハンバーグ。


お母さんは「華子が夕飯作ってくれから楽だわ〜」なんてご機嫌だったけど、



3日目の食卓で、お父さんはお皿を見つめて一言。



「……今日も、ハンバーグなのか……?」


その声音が、なんだか切なく響いていた。





< 72 / 174 >

この作品をシェア

pagetop