クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!
「なんだか、制服姿じゃない綿谷くんって変な感じです」
「…何が?」
「制服姿の綿谷くんも大人っぽくて。でも、普段着の綿谷くんはもっと大人感が増して、また違ったかっこよさがあるなあ、って思って」
そう言うと、なぜか驚いたように綿谷くんは固まって…
ぷいっとそっぽを向いて、手で顔を覆っている。
お、怒らせちゃった、かな…?
「ご、ごめんなさい!私…」
「まじ、待ち合わせ場所、駅にしなくて正解だったわ…」
なぜか、耳までを真っ赤にそめた綿谷くんが、ゆっくりと振り返る。
「お前さ、少しは自分のこと自覚しろよな…駅で待ち合わせなんかしてたら、変な男に声かけられてたかもしれねぇし」
綿谷くんの言葉の意味がよくわからなくて、「何がですか?」と返すと、呆れたようにため息を返されてしまった。