クールな王子様からの溺愛なんて、聞いてません!!

✳︎


「お、大きい…」


目の前に立つ、立派すぎる家を見上げて、私は呆気に取られていた。


わ、綿谷くんの家が、こんなに大きかったなんて…


「わ、綿谷くんは御曹司か何かですか?」


思わず尋ねると、「んなわけねぇだろ」と怒られた。


「そんなとこ突っ立ってないで、早く入れよ」


玄関のドアを開けて、中から綿谷くんが言う。


「お、お邪魔します…」


あまりにも立派なお家すぎて、中に入るのも畏れいるというか……


そ、そんなことより、お家の人にちゃんと挨拶しなきゃ…!


そんなことを考えていたけど、綿谷くんは何も気にしていないように、中に入っていく。


私はその後を追いかけた。




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