幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「それでは、指輪を。」

司祭の声に従い、侍女がそっと銀盆を運んできた。

そこには薔薇を模した細工が施された二つの指輪が輝いている。

ユリウスが一つを手に取り、私の左手を包むように持ち上げた。

「セシリア……俺の妃になってくれてありがとう。」

囁きと共に、薬指に冷たい指輪がすべり込む。

瞬間、胸の奥が熱くなった。

今度は私の番。震える手で指輪を取り、ユリウスの薬指にはめる。

「ユリウス殿下……どうか、これからも私を導いてください。」

指輪がはまった瞬間、彼の瞳がきらめき、誇らしげに笑った。

「──では、誓いのキスを。」

司祭の言葉と共に、会場の視線が二人に注がれる。

ユリウスが私の頬を両手で包み、ゆっくりと顔を近づけた。

「セシリア……愛している。」

低い声が胸に響いた直後、唇が重なった。

柔らかく、けれど確かな熱を帯びた誓いのキス。

拍手と歓声が大広間を包み、私たちの結婚はここに永遠のものとなった。
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