幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
そんな私たちを見て、父はようやく観念したようだった。

「……あれほどまでに、ユリウス殿下がご熱心だったとはな。」

毎日の訪問に、父もさすがに困惑していたのだろう。

だが、その声音には諦めと共に、どこか温かさがにじんでいた。

「もう、ユリウス殿下のお気持ちを受け入れるしかあるまい。」

「お父様!」

胸がいっぱいになり、思わず父の胸に飛び込む。

幼い頃以来の抱擁に、父の腕が少しだけぎこちなく私の背を支えてくれた。

「はぁ……しかし、国王陛下になんと申し伝えればいいのだ。」

困惑を滲ませながらも、その口元は微笑んでいた。

初めて見る柔らかな父の笑みに、胸が熱くなる。

「ありがとう……ございます。」

涙が溢れて止まらなかった。

これで全てが許されるわけではない。

国王の承認という大きな壁はまだ残っている。

けれど父が認めてくれたことが、何よりの力となった。

ユリウスと共に進む未来を、ようやく夢見ることができたのだ。
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