幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
庭から戻ると、控えていた家臣が頭を下げた。

「殿下、お時間です。」

「もう、そんな時間か。」

ユリウスが小さく嘆息する。

きっと忙しい公務を縫って、こうして私に会いに来てくれているのだろう。

その事実が胸に沁みて、愛おしさが募った。

思わず私は呟いていた。

「婚約者だったら……私が堂々と会いに行けるのに。」

その言葉に、ユリウスはふっと笑みを零す。

「直ぐに婚約者になるよ。」

力強く言い切る声音に、胸の奥が熱くなる。

未来を疑わないその確信に、心がほどけるようだった。

「……それまで、ゆっくりと恋人の時間を味わおう。」

微笑んで伝えると、彼の顔が柔らかく綻ぶ。

「セシリア……本当に、おまえは可愛い。」

その言葉に、頬が熱くなる。

ユリウスの微笑みは、私にとって世界で一番の宝物だった。

そしてその笑顔がある限り、どんな困難も越えられる気がしてならなかった。
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