幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
そして私とユリウスは、王宮の広大な庭園へと足を踏み入れた。

「まあ……やっぱり屋敷の庭とは全く違うわ。」

目に映る景色のひとつひとつが調和し、まるでひとつの世界そのもののように完璧に造られている。

「祖父の代で完成されたんだ。」

ユリウスの言葉に頷きながら、視線を巡らせる。

色鮮やかな花々、澄んだ泉、整えられた小径。

すべてが威厳と美を兼ね備えていた。

やがて、剪定をしていた庭師の老人がこちらに気づき、軽く頭を下げた。

「おお、ユリウス殿下。」

「元気にやってる?」

ユリウスが気さくに声をかけると、老人は皺を寄せた顔で笑った。

「ぼちぼちですね。」

皇子でありながら、昔からの友人にでも話しかけるような自然さ。

その姿に、胸が熱くなる。

──ユリウスは、ただ威厳ある皇子ではない。

人に寄り添い、愛される人なのだ。

そんな彼が、私を隣に連れて歩いてくれている。

その事実が、何よりも誇らしく思えた。
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