幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
胸が張り裂けそうだった。

もう、私はユリウスの側にいてはいけないのかもしれない。

「殿下……」

声が震える。広間にいる全員がこちらを見ているのに、もう抑えきれなかった。

「私は……民が苦しむ姿を見たくはありません。」

頬を伝って大粒の涙が零れ落ちた。

その瞬間、ざわめいていた議場が静まり返る。

「セシリア……!」

ユリウスが手を伸ばす。

けれど私は一歩、彼から退いた。

「殿下の愛は、私にとって何よりも大切です。けれど……私のせいで戦が起こり、人々が涙するくらいなら……」

言葉の続きを口にすることが恐ろしかった。

でも、背負わなければならない。ユリウスを愛する者として。

「どうか……民をお守りください。」

嗚咽まじりの声に、ユリウスの瞳が大きく揺れた。

彼の愛と、私の決意が激しくぶつかり合う中で──広間の空気はさらに緊張を増していった。
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