幼馴染み皇子の強引すぎる婚約破棄と溺愛
「ユリウス殿下……」

涙に濡れた声で口を開いた瞬間、広間に緊張が走った。

「私は……あなたの妃にはなれません。」

「なっ……!」

ユリウスの瞳が驚愕に揺れる。

私は必死に顔を上げ、彼の真っ直ぐな眼差しを受け止めた。

「どうか……イザベラ姫と幸せになってください。」

その言葉を口にした途端、胸が裂けるように痛んだ。

けれど、国を守るためにはこれしかない。

私が退けば、戦火は避けられるのだと信じた。

「セシリア……何を言っているんだ!」

ユリウスの声が広間に響き渡る。

「私は……民が苦しむ姿を見たくないのです。」

涙が頬を伝い落ちる。

「殿下の幸せを願うこと、それが私にできる最後の愛です。」

その瞬間、ユリウスは激しく首を振り、前へと踏み出した。
< 87 / 150 >

この作品をシェア

pagetop