明治誓いの嫁入り──政略結婚から始まる危険なほど甘い溺愛
そして披露宴も終わり、私は浴室に案内された。

そうか──今日は初夜なのだ。

母から「旦那様の言う通りにするのよ」と言われたけれど、いったい何をされるのだろう。

恐怖と期待のないまぜになった気持ちで、私は湯船に身を沈めた。

疲れた心が少しずつ和らいでいく。さすがは財閥の屋敷、湯船も広々として立派だ。

その時だった。

「……ゆっくりできてるか。」

低い声に、はっと振り返る。

戸口に立つのは──誠吾さん。

「……あの……」

動揺して声が震える。

「いや、そのままでいい。」

そう言いながら、誠吾さんは布で自分の体を覆い、ためらいもなく浴室に入ってきた。

熱い湯気の中、男の気配が近づく。

心臓の鼓動が、湯の音よりも大きく響いているように思えた。
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