明治誓いの嫁入り──政略結婚から始まる危険なほど甘い溺愛
「母に、一緒に入って来いと言われて。」

「……お母様に?」

驚く私をよそに、誠吾さんは湯船に身を沈めた。

どぷん、とお湯の量が一気に増え、波が揺れる。

思わず視線を向けた先──そこには、衣服の下では想像できなかったほど逞しい体があった。

……すごい。

つい、失礼なほどにじっと見てしまう。

「ん?」

「いえ……随分と大きな体だなと思って。」

頬が赤く熱を帯びる。

男性の体など、まともに見たことはなかったのだから。

誠吾さんは静かに腕を伸ばし、私を抱き寄せた。

濡れた肌同士が触れ合い、心臓が跳ねる。

「君の体は……柔らかいな。」

囁きと共に、ぎゅっと強く抱き締められる。

恐怖ではなく、不思議な安堵が胸に広がっていく。

冷酷だと噂されていた夫の腕の中は、驚くほど温かかった。
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