キミノオト

【1】


カーテンの隙間から夏のまぶしい光が差しこむ。

「今日もあまり眠れなかった…」

『お前みたいなダメ人間が、愛されるわけないだろ。だから大人しく俺の言うこと聞いとけ!』

『ホント使えねぇやつだな』

『お前に選択肢なんかあるわけねぇだろ』

何度忘れようとしても頭の中で繰り返し再生されるのは、元カレから言われた数々の心無い言葉たち。

寝ても覚めても、悪意ある言葉たちに囚われたまま。

間違ったことは言われていない。

私はダメ人間だし、役立たず。

それでも、彼から放たれた言葉たちは、心に深く刺さったまま私を苦しめる。
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