キミノオト

「明日も休みだし、映画でもみちゃう?」

優麻ちゃんの提案からはじまった映画鑑賞。

1年くらい前に話題になっていたラブストーリー。

きゅんきゅんするだけじゃなくて、恋愛の苦しさとか儚さみたいなものを感じられる作品だった。

だけど、作品だけじゃなくてエンディングも最高で。

今まで見ていた物語を現したような、温かくて切ない素敵な楽曲。

数々のヒット曲を生み出す国民的バンド「トリノコシ」の中で、最も再生回数が多い代表作だ。

「めちゃくちゃよかったねこれ」

「すっごい泣けた」

ついつい映画に集中していたせいで時間を忘れていた。

今何時だろう。

スマホを確認するとメッセージと着信の履歴。

陽貴君からだ。

なんとなく内容を確認する気になれなかった私は、そっとスマホを伏せる。

一応外泊することは連絡してあるし。

でもこんなの初めて。

いつも気づいたらすぐに返事するようにしていたし、なんなら体が勝手に動いていたくらいだ。

「ちょっと外の風浴びてくる」

「はいよ~」

ベランダに出ると、少しひんやりとした春の夜風がふいていた。

ちょっぴり肌寒いけど心地よい。

同じ建物なのに、陽貴君の部屋からの景色とは全然違うな。

まだ仕事中かな。

また彼のことを考えている自分に気が付いて苦笑いがこぼれる。

どこまでいっても私は陽貴君のことが好きなんだな。

< 122 / 133 >

この作品をシェア

pagetop