キミノオト
「明日も休みだし、映画でもみちゃう?」
優麻ちゃんの提案からはじまった映画鑑賞。
1年くらい前に話題になっていたラブストーリー。
きゅんきゅんするだけじゃなくて、恋愛の苦しさとか儚さみたいなものを感じられる作品だった。
だけど、作品だけじゃなくてエンディングも最高で。
今まで見ていた物語を現したような、温かくて切ない素敵な楽曲。
数々のヒット曲を生み出す国民的バンド「トリノコシ」の中で、最も再生回数が多い代表作だ。
「めちゃくちゃよかったねこれ」
「すっごい泣けた」
ついつい映画に集中していたせいで時間を忘れていた。
今何時だろう。
スマホを確認するとメッセージと着信の履歴。
陽貴君からだ。
なんとなく内容を確認する気になれなかった私は、そっとスマホを伏せる。
一応外泊することは連絡してあるし。
でもこんなの初めて。
いつも気づいたらすぐに返事するようにしていたし、なんなら体が勝手に動いていたくらいだ。
「ちょっと外の風浴びてくる」
「はいよ~」
ベランダに出ると、少しひんやりとした春の夜風がふいていた。
ちょっぴり肌寒いけど心地よい。
同じ建物なのに、陽貴君の部屋からの景色とは全然違うな。
まだ仕事中かな。
また彼のことを考えている自分に気が付いて苦笑いがこぼれる。
どこまでいっても私は陽貴君のことが好きなんだな。