キミノオト



部屋に入るとちょうど玄関の呼び出し音が鳴った。

エントランスの音ではなくて、玄関チャイムの音。

こんな時間に誰だろう?

部屋の前まで来れてるってことは、マンション内に住んでいる人かその関係者?

あ、もしかして彼氏さんとか?

だとしたら帰った方がいいよね。

と思ったものの、家主の優麻ちゃんですら首をかしげている。

そんな風に思っていると、確認しに行っていた優麻ちゃんが戻ってきた。

「海音にお客さん」

ここに私がいることを知っているのは優麻ちゃんと陽貴さんだけのはず。

「思ってることそのまま伝えてみな。大丈夫。もし何かあっても私は海音の味方だから。いつでもおいで」

そういって優しく背中を押された私は玄関へ。

訪ねてきたその人に近づいた途端、温かな体温に包まれた。

わけもわからず突然抱きしめられて困惑する。

「ごめん」

追い打ちをかけるように突然の謝罪の言葉。

もうわけがわからない。

誰か解説して。

「海音が外泊なんて珍しいことするの、記事のせいでしょ?」

私の考えなんてお見通しのようですね。

ゆっくり距離をあけ、真剣な瞳で見つめられる。

「ちゃんと話したい」

肩を掴んでいる手が少し震えている気がする。

「うん」

そんな返事しかできない自分に嫌気がさすよ。

優麻ちゃんに、今日は部屋に戻ると伝えると、笑顔で送り出してくれた。

いつでも味方でいてくれる優麻ちゃんには救われっぱなしだな。

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