キミノオト

「でもお似合いだよね」

ふいに口から出た言葉にはっとした。

こんなこと言いたくないのに。

おそるおそる陽貴君の顔を確認する。

あれ、怒ってる?

「海音にはそうみえるんだ」

「世間一般的な意見」

傷つけたくないし、喧嘩したくない。

なのに、勝手に口から黒い感情がこぼれてしまう。

「陽貴君もあんな魅力的な人に好意向けられたら、まんざらでもないんじゃない?」

「は?」

「なんの魅力もない冴えない一般人なんか同じ土俵にも立てないよ」

お願いとまって。

「ほかに好きな人ができたなら、ちゃんと終わらせたい」

言ってしまった。

はぁ、と盛大なため息が聞こえる。

「あのさ」

いつもより低い声。

完全に怒ってる。

「何勝手なことばっか言ってんの?」

勝手なことなんて言ったつもりはない。

「お似合い?まんざらでもない?俺はお前以外に興味ねぇよ」

心臓がドキリと高鳴った。

怒っているせいでいつもと正反対の荒い口調。

こんな時なのに、いつもとのギャップにきゅんとしてしまう。

「ちゃんと終わらせたいって何?俺がいなくても平気なわけ?」

平気なわけない。

黙りこんでいると、顎を掴まれ無理やり目を合わせられる。

「俺がほかの女を抱きしめたり、キスしたりしても、海音は平気なんだ?」

そんなのいやに決まってる。

想像しただけで胸が痛い。

私の表情の変化をみて、ふっと不敵な笑み。

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