キミノオト
「俺のことが好きで仕方ないくせに」
大好きにきまってる。
陽貴君の幸せを願っているのは本当だけど、幸せにするのは私でいたい。
「海音は自分を犠牲にすることになれすぎ。我慢しないで。海音の不安とか憤りみたいな気持ち全部聞かせて」
いつもの優しい声でそういわれれば、止まっていたはずの涙が自然と溢れ始める。
「寂しかった。忙しいのはわかってるの。でも付き合ってるのに、一緒に住んでるのに顔を合わせて話すこともできないのがつらかった」
「うん」
優しい瞳で見つめられる。
「彼女でいれるだけで幸せなのに、欲張りになってる自分が嫌になった」
宝物を慈しむような温かい眼差し。
「私のことは放っておくのにほかの女性との時間はとれるんだって嫉妬した」
なぜか嬉しそうな顔になったけれど、気にせず言葉を続ける。
「すごくお似合いで、本当に記事の通りだったらどうしようってすごく不安になった」
怖かった。
「もし本当にそうだったとしたら、陽貴君の幸せのために離れなきゃって。でも離れたくなくて…もうどうしようもないくらい陽貴君のことが大好きなの」
そこまで言ったところで、強く抱きしめられる。
「さっきも言ったけど、俺は海音にしか興味ないんだ。初めて会ったあの日からね」
陽貴君の声に集中する。
「誰に好意を向けられたってこれは変わらないよ。きれいごとかもしれないけど、大切なのは外見よりも中身でしょ。海音ほど心のきれいな人俺は知らないよ」
「そんなこと…」
ない、という前に唇に指が触れ、言葉を続けることができなかった。