キミノオト

タキシード姿の陽貴君と、ドレス姿の私。

どれも顔は隠れているけれど、お気に入りの写真だ。

様々な理由から結婚式はしないことにした私たち。

でも、娘の晴れ姿がみたいという両親と、せめて写真だけでも撮りたいという陽貴君の要望から、フォトウェディングを選択した。

出来上がった画像を見せてもらったときは、あまりにも素敵すぎて感動で涙が出た。

”こういうの待ってた!夫婦そろって透明感”

”幸せなのが伝わってくる素敵な写真ですね”

”タキシード似合いすぎかっこよ!奥さんスタイル良いな。陽貴自慢したかったんだね”

”理想的な身長差!よかったね陽貴!笑”

”陽貴が大きく見える…”

「なにみんなそろって。身長いじり」

お世辞でも褒めてもらえてうれしい私と対照的に、少しいじけてる陽貴君。

先に否定しておくと、陽貴君は決して小さくはない。

けど、お洒落さんが故に厚底だったり、かかとの高い靴を好んで履いていることと、ほかの2人が高身長なことからファンの中では身長いじりが定着している。

「陽貴君は今のままで十分かっこいいよ。これ以上かっこよくならないで。あんまモテすぎると困る」

「何それかわいすぎるんだけど…」

溺愛するように強く抱きしめられる。

笑いあって、キス。

「これからもよろしくね、奥さん」

とびっきり甘い笑顔。

「よろしくね、旦那様」

負けじと笑顔を向ける。

「俺たぶん今世界で一番幸せだわ」

ご機嫌な様子の陽貴君が、鼻歌を歌う。

聴いたことない曲。

私は、大好きな彼の声に耳を傾けた。
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