キミノオト

うなだれる私をみてくすくす笑いながら、センターテーブルに紅茶を置く陽貴さん。

アールグレイのいい香り。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

せっかく淹れていただいたので、温かいうちに早速一口。

「おいしい…」

「でしょ?この間イギリスに行ったときに買ってきたんだ」

嬉しそうに笑う顔も素敵だな…。

自然な流れでお隣に座ってらっしゃるし、スマート…。

紅茶のおかげで、少し気持ちが緩んだ。

とはいえ、かなり緊張しているのは変わらず。

優麻ちゃんに言われた通り、今回を逃したらもう気持ちを伝える機会はめぐってこないだろう。

結果がどうであれ、伝えよう。

じゃなければ、背中を押してくれた優麻ちゃんに顔向けできない。

カップを置いた手は、少し震えていた。

「初めて会った日もかわいかったけど、今日の海音ちゃんもかわいいね」

「へ?」

突然予想もしていなかった言葉をかけられ、驚いた私は勢いよく陽貴さんの顔を見る。

その反応が面白かったのか、またくすくす笑う陽貴さん。

ゆっくりと腕が伸びてきてゆるく巻かれた髪に触れる。

毛先まで神経が通ってるんじゃないかってくらい、全神経がそこに集中している。

「ストレートもかわいかったけど、くるくるしてると少し大人っぽくなるんだね」

「アリガトウゴザイマス…」

お世辞でもうれしい。

けど、ドキドキしすぎてうまく言葉が出てこない。
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