キミノオト
「それに、この唇」
髪に触れていた手が、今度は唇に触れる。
ドキドキしすぎて死ぬかもしれない。
「優麻ちゃんが塗ってくれたんですけど、やっぱり変ですか…?」
「いや、逆。めちゃくちゃかわいい。優麻さんわかっててやってんだろうな…」
何の話?
首を傾げた私の耳元に陽貴さんの唇が近づく。
「キスしたくなる」
!?!?!?!?
いきなり耳元でそんなこと囁くなんて、殺す気か!
思わず耳を抑えて勢いよく離れる私の顔はきっとゆでだこのように真っ赤だろう。
「いい反応」
楽しそうに笑っていらっしゃいますが、こちらの身にもなっていただきたいですねぇ!
「ところで、メインのお話してもいい?」
「あ、はい」
一通り笑い終わった陽貴さんは、少し緊張したような、でも優しいお顔で微笑んでいる。
何の話だろう。
少し怖い。
私が陽貴さんを好きなのがばれてて、迷惑だからやめてとか…?
伝えるチャンスすら与えてもらえない感じ?
いや、だとしたらさっきのやりとりは何だったんだろう。
「こういうの苦手だから、率直にいうね」
「はい」
「まだ出会って2回目だけど、俺、海音ちゃんが好き。彼女になってほしい」