キミノオト

年も明け、お正月の特番に引っ張りだこの陽貴君達。

必然的に留守番が増えた私は、1人の時間にアパートから少しずつ荷物を運んでいる。

陽貴君の部屋に自分の荷物が増えていくのを見て、本格的に一緒に住むんだなって実感する。

ご飯を作ったり、部屋をきれいに保ったり、今まで自分のためにしていたことが、“2人”のためになった。

些細なことだけど、そんなことでも幸せを感じる。

お風呂を済ませ、時計を見ると21時を指していた。

あわててテレビをつける。

今日は、スペシャル特番としてトリノコシのバラエティ番組が放送されるのだ。

録画もしてるけど、リアルタイムでも観たい。

ちょうど番組が始まったところだった。

MCの芸人さんが進行をしている。

歌っているときは、曲によって雰囲気を変える表現力おばけな陽貴君だけど、バラエティもお手の物のようだ。

私生活では、いたずら好きだしおちゃめな人だけど、基本落ち着いているから、バラエティでしか見られない姿に新鮮味を感じる。

番組は進み、ファンの投稿でSNSも盛り上がっている。

「ところで、昨年末に熱愛の記事が出てましたけど、真相はどうなんですかね」

MCからの踏み込んだ質問に、ドキリとする。

「でてましたねー、陽貴さん」

「どうなんですか、陽貴さん!」

綾さんと誠さんの悪ノリに、陽貴君が笑っている。

「そうですね。お騒がせしてすみません」

「人気者だからね、そりゃ騒がれますよね。で、どうなんですか?熱愛は事実なんですか?」
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