キミノオト

【12】


「そろそろいいよね」

1人盛り上がる男を冷めた目で見つめる。

これが終わったら、私の人生も終わらせてしまおう。

生きていたって、私なんかには幸せなんて訪れないのだから。

涙でぬれた瞳を閉じたその瞬間。

バンッ

勢いよく運転席のドアが開いた音がして、驚いた私は目を開ける。

私の上にいたはずの男が外に転がっていた。

「いってぇな!なんだてめぇ!」

「海音の彼氏だけど」

その声をきいて、龍也を引きずりだした人物を確認する。

どうしてこんなところに彼が。

「はぁ!?別れたはずだろ!?写真売った意味ねぇじゃん」

「そういうことね。俺たちを別れさせたくて、お前が俺たちの写真をマスコミに流したんだね」

「だったらなんだよ」

毅然とした態度の彼に、龍也が圧されている。

「海音、大丈夫!?」

助手席からかけられた声に振り向くと、優麻ちゃんがいた。

私の体に上着をかけると、腕の拘束を解いてくれる。

「怖かったね」

抱きしめてくれる優麻ちゃん。

私はぼんやりと、車外で行われているやりとりを見つめる。

「悪いけど、そんなことで諦められるほど、海音への気持ちは軽くないんだ」

「そんなこと言っていいのかよ、今回の件で、あんたの人気もガタ落ちだろ?」

そう、私のせいで。

「そんなのどうでもいい。いつでもやり直す覚悟はできてるんだよ」

「ちっ。何と言われようと海音は俺のだ」

「海音はそう思ってなさそうだけど?」

2人の視線がこちらへ向く。
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