キミノオト
「陽貴君達がいかに愛されているかを痛感しております」
「何それ」
笑っている陽貴君に、スマホの画面をみせる。
「応援してくれてる人が多くて、びっくりした。正直、覚悟はしてたとはいえ批判されるのは怖かったから、みんなが温かくて、感動しちゃった」
「まぁ、俺たちのファンだからね」
誇らしげな陽貴君がまぶしい。
「陽貴君も、批判される可能性だってあったのに、ありがとう。嬉しかった」
私も愛してるよ。
内緒話をするように耳元で小さく囁く。
陽貴君は一瞬フリーズした後、すぐお風呂入ってくるから絶対寝ないで待ってて!と言ってダッシュでお風呂にかけこんでいった。
何もそんなに焦らなくてもお風呂は逃げないのに、なんてのんきに笑って見送る。
陽貴君がお風呂に入っている間、またみんなの投稿を見る。
反響が凄すぎてトレンド入りしていた。
すごい影響力。
「ただいま」
爆速でシャワーを浴びた陽貴君が戻ってきた。
「はやいね。まだ15分くらいしかたってないよ」
「そりゃね」
笑っている私と反対に、何か急いている様子の陽貴君。
「髪乾かそう」
いつものようにドライヤーで陽貴君の髪を乾かす。
「ありがとう」
ドライヤーのスイッチを切ると同時に、お礼を言われたと思ったら次の瞬間には体が浮いていた。
手に持っていたはずのドライヤーもいつの間にかソファに移動している。
え、なに、どゆこと?
「じゃあ、行こうか」
陽貴君にお姫様抱っこで運ばれ、たどり着いた先はベッド。
状況を理解した時には、もう遅い。
さっきまでののんきさを後悔するくらい、陽貴君に甘く溶かされた。