キミノオト
【20】
陽貴君と出会って3度目の夏。
今日、私は25歳になった。
「たしかに受理いたしました。おめでとうございます」
「「ありがとうございます」」
受付のお姉さんの言葉に、2人で顔を見合わせて微笑みあう。
2人の左手薬指には、おそろいの指輪。
今日、私は山崎海音になった。
家に帰るなり、2人でスマホをのぞきこむ。
「じゃあ、投稿するよ」
「うん」
応援してくれているファンの方たちに向けて、陽貴君のSNSで結婚の報告をした。
熱愛を認めてから、離れていってしまった人も少なからずいたけれど、潔くて好感が持てると、新たに応援してくれる人も増えた。
ファンクラブの会員も着実に増えているようで、人気が衰える様子は微塵も感じない。
まだ投稿して数分だというのに、すでにたくさんのお祝いのコメントが届く。
”おめでとうございます!いつか奥様との幸せなお写真が見たいです!”
”やっとか。おめでとう。お幸せに”
”おめでとう!奥さんがどんな人なのか気になる~”
”おめでたいね。陽貴をメロメロに落とした嫁に会ってみたい”
「みんな海音のことが気になってるね」
笑いながら、そんなことを言っている陽貴君。
「陽貴君が人気者すぎるから。相手はどんな人だろうってそりゃ気になるよね」
「自慢したいけど、顔は見せてあげない。危ないことに巻き込まれたり、男寄ってきたら困るし」