休暇中の御曹司と出会ったら、愛され過ぎてもう無理です。
「昨日、突然どうしても俺が対処しないといけない仕事が舞い込んできて寝不足で……って、そんなの言い訳にならないけれど」

古賀さんの言葉に私はまた驚いてしまう。

「休暇中じゃないんですか!?」

「休暇中だけれど……この立場だと俺にしか許可を出せないことも多くて……」

凄すぎる、と言いたいところだけれど、今の私の感情はそれどころではなかった。

ヘナヘナとその場にうずくまってしまう。



「それじゃ休暇中って言ってもちゃんと休めていないじゃないですか……」



「いや、休めているし、こんなことは(まれ)だよ?」



「しかも、昨日夜まで仕事していたのなら、わざわざ私のゴミ出しに合わせて起きなくても良いじゃないですか……」



なんで私は古賀さんに文句のようにそう言っているのか分からない。

でも、なんていうか言葉に出来ないのだ。

昨日仕事で夜遅かったのに、あんな約束とも言えない会話のために部屋を飛び出してきてくれたことが……どこか申し訳ないような、その誠実さに戸惑うような、とりあえずまた上手く言葉に出来ない。
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